再生医療コラム幹細胞とは?基礎から学ぶ再生医療の可能性 ― 市民公開講座「健康こそ最高の幸せ!幹細胞治療への期待」より ―

市民公開講座「健康こそ最高の幸せ!幹細胞治療への期待」井上医師セッションの様子
CPC株式会社 代表取締役社長
井上啓太(いのうえけいた)先生

※所属・肩書はコラム執筆当時(2025年6月時点)のものです

「幹細胞って、そもそもどんな細胞なの?」
「幹細胞」や「再生医療」という言葉を耳にする機会が増えましたが、実際にどのような細胞で、私たちの体にどんな働きをしているかは、あまり知られていないかもしれません。

2025年3月に開催された市民公開講座では、CPC株式会社 代表取締役社長・井上啓太医師が、幹細胞の基礎知識から最新の治療応用までを、わかりやすく解説してくださいました。
CPC株式会社は、再生医療の導入支援や培養幹細胞の提供などを通じて、幹細胞治療を多方面からサポートしています。

本コラムでは、その講演内容をもとに、幹細胞の働きや幹細胞治療の可能性についてご紹介します。

私たちの体と細胞の関係

私たちの体は、すべて細胞からできています。これらの細胞には大きく分けて「幹細胞」と「働く細胞」という2つのタイプがあります。

働く細胞とは?
皮膚、筋肉、神経など、それぞれの機能に特化した細胞です。自らを複製することはできず、決まった役割を果たします。

幹細胞とは?

  • 自分自身を複製できる(自己複製)
  • 必要に応じてさまざまな細胞に変化できる(分化)

この「自己複製」と「分化」という性質によって、幹細胞は組織の維持や修復、成長に欠かせない存在なのです。

幹細胞が存在する場所

幹細胞は体中のさまざまな組織に存在していますが、その割合は組織によって異なります。


  • 皮膚:表皮の奥深くにあり、新しい皮膚細胞をつくり続けています
  • 脂肪組織:幹細胞の含有率が高く、1〜10%ほど存在するとされています
  • 血液:体内の循環系にも幹細胞が存在しています
  • 腸・筋肉・肝臓・心臓などにも確認されています

特に脂肪組織は幹細胞が多く含まれるため、近年の幹細胞治療では「脂肪由来幹細胞」が多く用いられています。

幹細胞の種類とその特徴

私幹細胞は、大きく「万能幹細胞」と「成体幹細胞」に分類されます。

万能幹細胞(多能性幹細胞)

  • ES細胞:受精卵から作られ、すべての細胞に分化可能
  • iPS細胞:体の細胞に遺伝子操作を加えて万能性を再現した細胞
研究用途として有望ですが、臨床応用には倫理面・安全性の課題もあります。​

成体幹細胞(体性幹細胞)

  • 私たちの体に自然に存在しており、皮膚や脂肪などに含まれる
  • 分化の範囲は限定的ですが、安全性が高く、現在の幹細胞治療で用いられているのはこちらのタイプ

幹細胞の3つの働き

細胞は単に「細胞を作る」だけではありません。以下のような重要な役割を担っています。

  1. 炎症を抑える:損傷部位に集まり、炎症を鎮める
  2. 免疫を調整する:免疫バランスを整え、過剰な反応を防ぐ
  3. 組織を修復する:傷ついた細胞や組織を再生・回復させる

幹細胞治療への期待と現在の技術

幹細胞治療では、主に患者自身の脂肪から採取した「間葉系間質細胞」を使用します。最近では、不織布を活用した幹細胞の培養技術により、少量の脂肪から効率よく幹細胞を増やすことが可能になっています。

治療に期待される効果

  • 炎症性老化(インフラメージング)の抑制
  • 動脈硬化、アルツハイマー病など慢性疾患の進行抑制
  • 組織の修復・再生
  • 免疫バランスの正常化

また、運動や食事、ストレス管理などの生活習慣の改善と組み合わせることで、より良い効果が期待されます。

まとめ

幹細胞は私たちの体に元々備わっている「再生の力」です。
年齢とともに減っていくこの力を補う幹細胞治療は、加齢に伴う変化やさまざまな病気に対する新しいアプローチとして注目されています。

幹細胞治療は今後ますます進化し、私たちの健康やQOL(生活の質)を支える重要な選択肢になると期待されています。
このコラムが、幹細胞に関する理解を深め、ご自身の健康と向き合うきっかけとなれば幸いです。

この記事は、CPC株式会社 代表取締役社長・井上啓太医師による市民公開講座「幹細胞とは?特徴を解説!」の内容をもとに作成しました。

取材にご協力いただいたドクター

井上 啓太(いのう えけいた)医師

井上 啓太(いのう えけいた)医師

CPC株式会社 代表取締役社長
医学博士 / 日本専門医機構認定形成外科専門医
日本再生医療学会正会員

記載されている所属・肩書は、2025年06月時点のものです。