お知らせ長期生存例に基づきバイオマーカー候補を同定~当施設が樹状細胞ワクチン作製等で協力した東京慈恵会医科大学らによる切除不能膵癌に対する免疫化学療法

当施設は、東京慈恵会医科大学にて実施された免疫化学療法の共同臨床研究において、Wilms腫瘍遺伝子に対する新規多機能型(Neo-WT1)ペプチドを使用した樹状細胞ワクチンを作製するなど、2018年から継続的に協力しています。本研究の結果、研究に参加された患者様の長期生存例により、免疫化学療法の治療効果を予測しうる複数のバイオマーカー候補が同定されました。


2025年8月26日には、この研究成果が東京慈恵会医科大学より厚生労働記者クラブ、厚生日比谷クラブ、文部科学記者会、科学記者会の記者クラブにて発表されました。

研究成果

本研究では、外科手術が不可能と判断された10名の進行膵癌患者を対象とした「WT1標的免疫化学療法」において、7名で膵癌の縮小や病状の改善がみられ手術が可能となり、そのうち4名が5年以上の長期生存を達成しました。
今回新たに、長期生存患者では治療前からWT1に反応する免疫応答が備わっており、また「記憶型T細胞(セントラルメモリーCD8+T細胞)」の増加が認められることが判明しました。これらは長期生存と関係している可能性が示され、WT1に対する免疫応答を有する患者にとって、本治療法ががん治療の有望な選択肢となりうることが示唆されました。


本研究の成果は、2025 年7月31 日に Journal for ImmunoTherapy of Cancer 誌オンライン版にも掲載されています。

当論文は英文となります

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