免疫細胞を用いた再生医療【膵臓がん】免疫療法の併用により手術が可能に。胸壁への再発後も免疫療法を再開し、転移巣が消失した症例

70代 女性
- 診断名
- 膵臓がん、傍大動脈リンパ節転移・胸壁転移(免疫療法中断後) 、ステージ4
現病歴
- 2015年5月
- 黄疸の症状により検査を受け、膵頭部がんと診断された。傍大動脈リンパ節への転移(図1)があり、当初は切除不能と判断された。
- 2015年7月~
- WT1樹状細胞ワクチン療法を開始(手術前に5回投与)。同時期にゲムシタビン+S-1療法(GS療法・化学療法)を併用開始。
- 2015年9月
- 化学療法2クール目のCTで部分奏効(PR)を確認。傍大動脈リンパ節転移が消失(図2)し、切除可能と判断。
- 2015年10月
- 膵頭十二指腸切除術を実施。手術後は化学療法は継続したが、免疫療法は3ヶ月間中断。
- 2016年1月~
- CTで胸壁転移(図3)が判明。
化学療法と併用してWT1樹状細胞ワクチン療法を再開(6回目から)。患者・家族の希望により治療を継続実施。 - 2016年12月
- CTにて胸壁転移巣の消失(図4)を確認。
CT画像で見る治療経過
手術前の経過(傍大動脈リンパ節転移の変化)
治療前のCT(図1)では膵頭部に腫瘍と傍大動脈リンパ節転移を認めました。化学療法とWT1樹状細胞ワクチン療法5回の併用により腫瘍が縮小し、リンパ節転移も消失(図2)したため手術を実施しました。
図1:2015年7月 膵頭部に腫瘍と傍大動脈リンパ節転移(黄丸部)

図2:2015年9月 腫瘍が縮小し、リンパ節転移も消失(同部位)

再発部位(胸壁)の治療経過
図3:2016年1月 手術後の胸壁転移(黄丸部)

図4:2016年12月 胸壁転移が消失(同部位)

当施設での治療概要
当施設では、免疫療法として「WT1樹状細胞ワクチン療法」を実施しました。
治療スケジュール
- 2015年7月より、手術前にWT1樹状細胞ワクチン療法を計5回実施
- 2016年1月以降、胸壁転移の確認後にWT1樹状細胞ワクチン療法を再開(6回目から)
- 2016年1月~2017年1月までに2クール目(アフェレーシス含む)で計7回の、WT1樹状細胞ワクチン療法を実施
- 2017年6月~3クール目のWT1樹状細胞ワクチン療法を継続
経過と変化
本症例は、当初切除不能とされた進行膵臓がんに対して、化学療法にWT1樹状細胞ワクチン療法を併用することで手術が可能となった例です。
手術前の併用療法により腫瘍の縮小と傍大動脈リンパ節転移の消失が確認され、手術を実施することができました。
手術後は化学療法を継続していましたが、免疫療法は一時中断していました。その期間中に胸壁への再発が確認されましたが、化学療法に免疫療法を再び併用する治療方針に変更したところ、転移巣の消失が確認されました。
この症例では、免疫療法は手術前に1クール、再発後に2クールの計3クール実施され、2020年1月時点で4年8か月の生存期間が確認されています。
化学療法を基盤とした治療に免疫療法を併用することで、より包括的な治療アプローチが可能となった症例と考えられます。
副作用について
「樹状細胞ワクチン療法」の主な副作用として、38度前後の発熱やワクチン投与部位の発赤が報告されています。これらは免疫反応によるものと考えられていますが、個人差があります。
これまでに重篤な副作用の報告はありません。
当施設での費用
本症例では、「WT1樹状細胞ワクチン療法」を3クール実施しています。
- 本治療は自由診療(保険適用外)です。
- 当施設で治療を受けられる場合、1クール分(7回投与)の費用には、治療中に必要な血液検査、ワクチンの作製・保管、投与費用などが含まれます。
- 1クール(7回投与)の治療費の目安:280万円(税込)程度です。
- お身体の状態や治療内容によって費用は異なる場合があります。
- 初診料・再診料・相談料等、治療内容によって異なります。
- 日本の健康保険証をお持ちでない方は、費用が異なります。
Doctor's Comment
効果がしっかり表れる方であれば、たとえがんが再発しても、免疫療法を再開することで治療を継続できる可能性があります。再発してもあきらめずに、治療に取り組むことが大切です。
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